2001年度

阪神圏大学非常勤講師労働組合 

総会報告

2001年5月13日、吹田市内本町コミュニティセンターで総会が開催されました。

議長に武井博之氏を選出した後、来賓の牧野広義氏(大私教議長・大阪私大教連委員長)、山下恒生氏(教育合同委員長)、福田拓司氏(京滋地区非常勤講師組合委員長)から挨拶を頂戴しました。

牧野氏は中小私大・短大が定員割れをおこしている反面、有名私大はむしろ受験生が増加していること、また管理強化や事務職員の削減が進んでいること、定期昇給をストップしたり定年を早める大学が増えていることを紹介し、このような「合理化」といかにして戦うかという話をしてくださいました。また「吉田誠さんを奈良芸短に復職させる会」の構成団体としても上告に全力を捧げているということでした。

山下氏からは、外国語教育に携わる非常勤講師を削って、英会話学校に外注している実態が紹介されました。このようなやり方を文部科学省は承諾しているが(大学設置基準さえ満たしていればよいとして)問題があるという指摘でした。また関学で新しく作成された雇用契約書には、雇用期間を明示した上で「原則として契約更新しない」と書かれてあるが、サインをしない方針で臨んでいるということでした(労働法によると、サインをしてもしなくても、来年度の契約について口頭で意思確認をした時点で、雇用契約が成立したと見なされるからです)。

その後の討論の中でもこの問題を取り上げ、とりわけ「語学の外注」や「情報処理科目の外注」が非常勤講師にとって死活問題になりつつあるいま、当組合としても「大学の人事規則はどうなっているのか」「教授会はどのように関わっているのか」について、専任組合にも問題提起すべきだということを確認しました。

(大阪産業大学でも、2001年度の雇用契約書に「雇用期間が満了したときは、原則として契約更新しない」という文言が明記されましたが、今後このような形式の契約書が増えると思われます。上でも述べたようにこのような契約書にはサインしないことです。サインすれば継続雇用に対する合理的期待をもっていないと判断されて、いままで以上に、いつでも雇い止めされる危険性があります。)

 

 

総会では、その後、関西大学(担当:江尻)、大阪経済大学(担当:伊田)との交渉について口頭報告があり(内容についてはニュースで報告済み)、昨年度の活動方針(詳細は「ニュース第3号」)に照らして成果と反省が報告されました。

 

対外的な活動

@     主要大学との交渉。各大学教職員組合との友好関係を築くこと

A     「雇い入れ通知書」を作成し、各大学にこれを採用させること

B     ニュースの充実をはかること

C     「非常勤問題啓発ポスター」の作成

D     非常勤問題に関する小冊子の作成

E     奈良芸短不当解雇撤回への取り組み

これについては「復職させる会」が「大阪高裁判決の問題点  その5つのポイント」(6頁の冊子)を発行しています。ご希望のかたは長澤までご連絡ください。

F     カンパ活動の強化

 

 

対内的な活動

   @「委員会」の設置

(非常勤講師給の根拠をめぐって、教育内容をどのように評価するかについて、真鍋委員から報告がありましたが、最終的な意見の一致を見ることはできませんでした)

A       組合員の増加を図る

 

2001年度 活動方針

 

1 昨年度の、積み残した課題を引き続き実現するために努力する。

2 非常勤問題を専任教員・非常勤教員に理解してもらうために、今秋をめどにシンポジウムを開催する(京滋組合・大私教等と合同で)。

3 HPの充実。『掲示板』の開設。各組合員の専門分野と住所・氏名の公表(希望者のみ)。

4 組合ニュースの配布担当の確立。

2000年度会計報告とともに、上記活動報告と方針(案)が採択されました。

 

    さらに意見交換会のテーマとして

 

@     各自の授業評価アンケートを公表する運動。各大学で互いの授業を検討する場を設けさせる。そこでカリキュラム編成をはじめとする教学上の問題について非常勤の意見を述べる。(電通大・経済大の経験について)

A     賃金単価引き上げの根拠について

非常勤教員の1コマの単価について、どの大学も根拠を示すことはできませんでした。当組合としては、同一価値労働・同一賃金をモットーに、専任教員の給与と比較すべきであると考えていますが、専任教員の給与は「人」に対して支払われているのであって「コマ」に対して支払われているわけではありません。そこで専任が週20コマ教えていると仮定して、モデル平均年収(1200万円とする)を20で割ると1コマ5万円となります。そもそも比較すべき基準がどこにも無いわけですから、このような、一見荒唐無稽に見える計算をせざるをえないわけです。(もっと他に「合理的な」計算方法があればご教示願います)

B契約書の内容について(同志社の事例を参考に)

労働条件に関わる規定の改廃は、団体交渉事項である

労基法第90条:使用者は、就業規則の作成または変更について、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、それが無い場合においては労働者の過半数を代表する者の意見を聴かなければならない。

パート労働法第7条:短時間労働者についても、上記90条と同じ規定。

短時間労働者雇用管理改善指針(労働省):就業規則の整備についてパート労働法の遵守を求める規定。

したがって大学に、非常勤講師の過半数を代表する者の意見を聴いたかどうかを確認し、聴いていない場合はその機会を設定させることができる。

雇い止めできない場合を明記させる。

   産休や病気を理由に雇い止めはできない。 

   

大学の都合で開講できなくなった科目については、労基法第26条「平均賃金の100分の60以上の手当てを支払わなければならない」。

   

雇い止めの予告について

雇い止めをする場合、どの事由によるものかということと、それどのような手続きで、誰が判定したのかということを、大学側は事前に本人に知らせる義務があるということを明記させる。また事由によっては、本人からの事情聴取や反論の機会を保証するように求める。

 

以上のテーマについて話し合いがなされ、@Aについては引き続き検討し、Bについては各大学との交渉課題とすることとなりました。

最後に新執行部を選出して総会を閉会しました。参加された皆さん、ご苦労様でした。

 

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非常勤問題についての、各大学教職員組合の春闘要求

大阪地区私大教連資料から

 

近畿大学:非常勤講師の雇用継続の保障・1コマ3万円に・二部手当て1コマにつき5000円UP・阪神圏大学非常勤講師労働組合と懇談を持つこと。

大阪電気通信大学:本学を中心に兼任している非常勤講師を嘱託講師にし、教育の強化をはかる。

大阪経済法科大学:1コマにつき7000円UP・賃金等級を少なくせよ・一時金として年間3か月分を支給せよ。

大阪芸術大学:1コマにつき5000円UP・賃金等級の見直し。

奈良学園:1コマ一律3万円にせよ。

 

これは大阪地区私大教連に加盟している22大学のうち、情報を入手できたものだけです。大学によっては非常勤問題が要求項目にあがっていないところもありますが、上記5大学に見られるように、この問題を積極的に取り上げている専任組合もあります。

 また少額とはいえ、1コマあたりの賃金を上げている大学も目に付くようになりました。私たちの運動の効果が、各方面に波及しはじめています。がんばりましょう。

 

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