仮 称
ネットワーク
 

阪神圏大学非常勤講師労働組合
ニュース創刊号
 1999年7月1日発行
 

   加入資格:阪神圏の大学・短大・専門学校で非常勤講師として勤務している方なら
        どなたでも入れます。本務校をお持ちの方でも結構です。国籍は問いません。
   組 合 費:年収にかかわらず年4000円です。
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大学非常勤講師労働組合ニュース発刊に際して             1
第一回総会開催さる!       1
1999年度 活動方針      3
基本要求項目           3
非常勤教員問題は小事か?     5
いろいろな考え方のかたへ     6
ひとこと〜〜感想や発言〜〜   10
ニュースの名前を募集しています 12
 
 大学非常勤講師労働組合ニュース発刊に際して
 執行委員長 長澤高明
 
 1998年12月6日の執行委員会(準備会)を経て、1999年5月16日に正式に阪神圏大学非常勤講師労働組合が結成されました。その間、各大学の専任教員の方々からも多大なご支援をいただきました。
 今日大学改革の嵐の中で、私たち非常勤講師は教学のパートナーとして明確な位置づけを与えられていないのみならず、低賃金体系の下、ある者はアルバイトに追われ、ある者は貧困に堪えながら、研究生活を送っています。私たちは、このような声をニュースにとりあげることで、お互いの置かれている立場を認識し、経験を交流する場にしたいと思っています。また、専任の方々にも非常勤問題を考えていただける材料を提供したいと考えています。
 非常勤講師の皆さん、未来を私たちの手で切り開くためにも、是非当組合への加盟をお願いいたします。
 
 
第一回総会開催さる!
 
 昨年12月6日に、有志が集まって「阪神圏大学非常勤講師労働組合」を作りましたが、第一回総会が5月16日(日)午後2時から吹田さんくすホールで開催されました。
 まず武井博之・金谷千慧子氏が満場一致で議長に選出された後、暫定執行委員長の長澤高明氏が開会を宣言。
 大阪私大教職員組合連合(大私教)委員長、牧野広義氏からは、大私教としても非常勤講師の労働条件の改善の取り組みは大切なことだと考えているが、非常勤講師たち本人が声を挙げてくれなくては進めづらい、この声を広げて欲しいと期待の言葉をいただきました。
 大阪教育合同労組、山下恒生(つねお)氏は、これまで外国人講師は多数ゼネラルユニオンや教育合同に加盟して運動してきたが、今度の非常勤講師労組ができたことで日本人講師と繋り協働できるようになることを期待していますと述べられました。
 京滋地区私大非常勤講師組合委員長吉田浩司氏と日本科学者会議大阪支部代表からも丁寧なご挨拶をいただき、大阪労連パート・非常勤部会からの「力を合わせていきたい」というメッセージが読み上げられました。
 続いて書記長の福田拓司氏が総会に至るまでの経過を報告し、副委員長の吉田誠氏が99年度活動方針案を説明しました。その後同じく副委員長の大西が改正規約を読み上げ、ディスカッションの後いったん休憩に入りました。
 休憩後は、会計担当の増田和夫氏が会計報告をし、その後新人事が決定されました。新体制は次のようです。
 委員長:長澤高明。
 副委員長:大西陸子・吉田誠。
 書記長:福田拓司。会計:増田和夫。
 以下、荒井・江尻・藤井・伊田・真鍋の5名の執行委員を選出し、計10名の執行部が新たに発足しました。
 その後、今後の運動方針案、他の組合や団体との関係が議論され、特に大私教への加盟方針などが可決された後、5時半頃に閉会の宣言がなされ、第一回総会は終了しました。
           (大西陸子)
 1999年度 活動方針 
<5月16日総会で可決された活動方針>
 
 1 各大学へ「阪神圏大学非常勤講師労働組合」が結成されたことを知らせるとともに、各大学における非常勤講師の位置づけを明確にさせる。
 2 さまざまな考えを有している組合員の最大公約数として、当面、基本要求項目を各大学に提出し、定期的な交渉の場を設定する。
 3 阪神圏を主たる職場とする非常勤講師の過半数を組織する。
 4 記者会見を行う。
 5 「京滋組合」「首都圏組合」との情報交換およびネットワークの形成。「京滋組合」が行う、非常勤講師へのアンケート調査への協力。また独自にアンケート調査を行う。
 6 「組合ニュース」を発行し、非常勤講師問題を社会にアピールする。
 7 京滋組合の「労働問題研究会」への参加。また独自に学習・研究会を行う。
 
基本要求項目
 
【雇用について】
 雇用に対する非常勤講師の不安の原因はいうまでもなく、雇用が一年ごとに更新されることと、翌年度の雇用の可否が、非常勤講師の意志とは関係なく、教授会もしくは理事会に委ねられているということです。
 非常勤講師は、一年契約なのだから、来年度の出講を断られれば、それに従うほかないのでしょうか。じつは、パートタイマーや非常勤講師のような短期労働契約を結んでいる労働者にあっても、雇用者側は短期雇用形態をとりながら長期に渡って雇用することが一般的です。被雇用者にも長期雇用の期待が強く、その期待が誰が考えても尤もだというときには雇用者が契約更新を止めるには正職員の解雇の場合と同様の厳しい制約があるのです。
(「整理解雇4要件」(1)その解雇を行わなければ、企業の維持・存続ができないほどさしせまった必要性があること (2)解雇を回避するあらゆる努力が尽くされたこと (3)解雇の対象となる労働者の選定基準およびそれに基づく人選の仕方が合理的かつ公平であること (4)以上について、労働者個人および労働組合に対し、事前に十分な説明をして了解を求め、解雇の規模、時期、方法などについて、労働者側の納得を得る努力が尽くされていること)
 また、形式的に「期間の定めのある雇用」の場合にも、雇用契約が何度か反復されている場合、この有期雇用は無期雇用に転化すると判例では見なされています。なぜかというと、反復更新がなされれば、労働者は「期間の定め」は一応の形式的なものであって特別の意志表示がない限り当然更新されるであろうと期待するのが当然だからというのです。
 ところで、労基法14条は「労働契約は期間の定めのないものを除き、一定の事業の完了に必要な期間を定めるものの外は、1年を超える期間について締結してはならない」としています。
 戦前は、長期の労働契約期間を設け、同時に中途で労働者が帰郷したなら損害賠償額を払わねばならないとしたり、紡績工場主や風俗営業主が農村から女性を採用するに当たって、親との間に前借り金契約を結び、その金額を女性が年季明けまでかかってやっと返せるようにして途中で逃げ出せない仕組みにしていました。このような人身拘束を許してはならないという趣旨で、「1年を超える」契約期間の禁止が1947年の労基法で明記されたのです。それが1970年前後から主婦労働力の積極的活用が進んで行く際に、人々の無知につけ込んで、景気が悪くなったとき契約期間の満了ということで「解雇権濫用」のとがめを受けずにパートタイマーを解雇するのに利用されるようになってしまったのです。
 ですから1年以内の期間の定めのある雇用契約は、もっぱら労働者を保護する立場からの規定なのです。つまり労働者から期限の満了を主張しない限り、雇用契約は継続し、使用者がこの関係を断つためには通常の解雇または退職の手続きをとらねばならないと考えるべきなのです。
 
 そこで、以下のことを要求します。
 より安定した雇用関係をめざすために、強権的な専任教員による指名解雇的な「雇い止め」や、大学のカリキュラムの再編を理由とする「雇い止め」を解雇として位置づけ、「整理解雇4要件」を満たさない解雇はしないこと。
 さらに、コマ数を一方的に減らされるのを防ぐために、来年度の出講条件に関して、組合と交渉することを要求します。コマ数を減らされてから交渉のテーブルにつくというのでは遅いので、後に述べる「教学への参加」とセットにして要求します。また、新学期になって不開講とせざるをえなくなった科目についても、契約時の賃金を保障することなども要求します。
 
【賃金について】
 まず、現行の賃金単価がどういう根拠に基づいて決定されているのかを各大学当局に問う必要があるでしょう。そうすれば非常勤講師の賃金がどうしてこのような低額であるのかという理由が明らかになるからです。(もともと、本務校を有する教員の出講手当にすぎなかったものが、そのまま本務校をもたない非常勤講師の賃金として位置づけられているわけです)
 そして、非常勤という身分にも関わらず、専任教員と同等の教育と研究を期待されているのであれば、少なくとも専任教員並の、週6〜7コマ前後の担当時間数をもてば、基本的な生活が可能で、かつ研究生活も保障されるような賃金体系にすべきであると考えます。これについてはさまざまな試算がありますが、少なくとも現在の単価の倍程度は必要です。
 さらにコマ数と勤務年数に応じた一時金と退職金を要求すべきだと考えます。また、この点に関し、政府の補助金行政について検討することを、大学側に要求します。
 
【教学への参加について】
 どこの大学においても教学の改革がすさまじい勢いでなされていますが、その際非常勤講師を不用になったら廃棄処分にする機械の部品としてではなく、専任教員と対等の立場に立つ教育労働者として扱うことを要求します。そのためにも、とりわけカリキュラム編成に際して、非常勤講師の意見を反映しうる組織を作ることを要求します。
 
【研究・教育について】 
教育者であると同時に、研究者としての位置づけを要求します。
(1)紀要への執筆を保障すること。
(2)研究・教育補助費(図書費・コピー費・教材補助費)を出すこと。
 
【社会保険について】
 各種保険への加入は、ただでさえ低賃金の非常勤講師の生活を圧迫しています。ですから私学共済への加入を要求しますが、それができない場合は、国民健康保険料や国民年金の掛け金の一部負担を要求すべきだと考えます。
 
【その他】
(1)次年度の担当時間割について、従来のように専任教員を通じて個人的に通知するのではなく、教授会の責任において、遅くとも10月中には通知すること
(2)産休を保障すること。
(3)数ヶ月にわたる病気休講については、それを解雇の理由とせず、補講もしくは集中講義による代替措置を認めること。
(4)掲示板を使用させること。
 
 
 非常勤教員問題は小事か? 
 
<わたしへ、そしてあなたへ>
 あなたは眠っていていいの? 目を閉じていていいの? 他が忙しいし、小さいことだし、少し我慢すればいいのだし。それはそのとおり。我慢できないことではない。
 で、我慢した分、一体あなたは何をしたいの? おかしいと思うことをおかしいと思いながら、それでも我慢して、その代わり何をあなたは優先しているの? 何を大切にしているの?
 授業? 学生との語らい? 自分の研究の時間? 自分の趣味の時間? プライベートな家族との時間?
 そう、それが大切なことなんだよね。 じゃあ、いいんじゃないの。非常勤の待遇がとても悪くて、専任教員との格差があって、専任教員から見下されていて、うまく使われていても。
 でも、もし、あなたが自分の生活に一本の芯を通していて、そのことを教育で伝えたいのだとしたら。その芯を通すような生き方をしようとしているのなら。
 ・・・・・・この問題に関わることは、その一部になることかも知れない。
 私はそう感じて、今ここにいる。専任と非常勤の間の差別問題を、小事といって無視したり、軽視したりすることは、私の生き方の芯にかかわることなのではないかと・・・・・・
 
<専任教員へ>
 あなたの地位は「実力」ゆえのことか? 実力・能力とは、何か?
 私は思う。私の能力は、私のものではないと。私の能力が私にあるのは、偶然の産物であると。私が中国の農村部の貧しい家に生まれたら、私は貧しい農民としての一生をおくったことだろう。私が今、<所有>しているものは、私のものではない。私の<所有>に根拠はない。
 専任教員よ。あなたはなぜ、非常勤教員ではないのか?
 専任教員よ。あなたばなぜ、それほどの「高給」をもてるのか?
                                      (伊田広行)
 
 いろいろな考え方のかたへ 
 
私は、夫が稼いでいるから今のままでいいし、非常勤講師には半主婦が多いから低賃金でしかたないでしょうという人へ
 
 《人は結婚して世帯を作る、世帯主(通例、夫=男性)が外で働き世帯賃金を稼ぐ、だから家計の膨らむ中高年に賃金を高くする年功制賃金だ。家事育児を配偶者(妻=女性)が受け持つ、したがって長時間働けない配偶者はパート形式で雇用し、仕事に専念できない二流労働者として、また世帯主が世帯賃金を稼いでいるはずだから補助的収入でいいとして低賃金とする。》
 このように暗黙のうちに観念されているので主婦や若年者の低賃金・任期付き形式の雇用が問題にされづらいのだと思われます。しかし、それは悪い意味での差別を醸成します:夫のいないシングルマザーまで低賃金で働かねばならない。優秀な女性でも能力を発揮する道から遠ざけられる。働き続けたい女性に退職圧力がかかる。男性正社員は、君はパートじゃないんだからと言われて、育児をしたくても育児休暇がもらえない、企業戦士のように働きすぎにされる。
 よく考えてみると、専任教員の本務校での報酬に較べ、非常勤出講での報酬が格段に低いのも、専任教員は世帯主であり本務校で世帯を養う賃金と研究費をもらっているのだから、非常勤出講する場合には、ボランティアへの謝礼的な賃金でいいだろうと暗黙に是認されており、本務校のない男女の非常勤教員までも同じ範疇で扱われてボランティア謝礼的賃金になっているからだ考えられます。
 もし、あなたがあなただけの事を考えるのではなく、高い精神性を持って、他の女性仲間や本務校のない男性非常勤講師のことを考えるのなら、それでも「今のままでいい」ですか?
 ILO条約やスウェーデン等ヨーロッパで一部実現し、潮流として進んでいる方向は、パートタイマーは労働時間が短いだけの正社員であり、同様の仕事をしている場合「賃金÷労働時間」の値はフルタイマーと同等で、人生諸時期の育児・介護・研究・身体条件などの事情に応じてパートタイム・フルタイムの乗り換えができるシステムと見られます。アメリカでは、正規雇用労働者は一部に限り、あとはすべて待遇格差のあるパートタイマーにしようとする動きがあり、それに対して過日大規模なストライキがありました。社会全体・人の生涯を考えて、あなたは、次の世紀にはどのような雇用システムが好ましいと思われますか?
 あなたは、あなたが死ねばすべて無になると思いますか? あなたは過去の女や男たちの運動の成果を享受し、今生きているのだと思います。そして今生きている女や男たちのためにだけに生きているのではないはずです。明日の世代の者たちのためにも生きているのではないでしょうか。
 
非常勤はいつでもクビが切れるのだから労働組合なんか入ったら、仕事がなくなっちゃうよ〜という人へ
 
 《今は自由契約社会である。雇用も双方の自由意志が合致して成り立つ。非常勤の委嘱状でも期間を明記してあるのだから、その期間の満了時をもって雇用を停止できる。パート・非常勤はいつでもクビにできる。》というふうに思い込まれているのは、無知から来るいわば集団催眠状態です。パート・非常勤も簡単に解雇できません。
 [労働関連法では、契約の形式や内容が絶対ではなく、労働の実態が優先されるというのが先進国の常識です。]例えば、「残業割り増し手当無しで働きます」と労働者が合意・契約して雇用されたから、残業割り増し手当なしで働かせるとすれば、そもそも労働基準法を決めた意味が無くなります。一般に労働関係や社会保護法は他の私的な契約で置き換えてしまうことが出来ないというのが法律の世界です。労働法の基本的な考え方は、契約や当事者の意志に拘泥するのではなく、労働の実態を重視するものです。
 [非常勤講師は一時的・臨時的に雇用されているのではない。]例えば語学・芸術・体育など少数の専任教員と多数の非常勤教員で何十年も授業を継続してきたことは、大学も恒常的に非常勤講師によって授業を担当させるつもりでいたと解釈するほかありません。従って常用雇用されているといえます。
 [非専任教員にも労働法が適用され、解雇には厳しい要件がある。]「パート」・「アルバイト」・「非常勤」・「臨時」などの名称がついていても、労働法上の労働者であり、労働法の保護を受けます。
 正当な理由がない解雇は「解雇権の濫用」として無効とされています。正当な理由とは@「会社の経営が悪くなって雇い続けられなくなった」・「天災事変など止むを得ない理由のために事業が不可能のとき」といった経営側要因か、A「勤務態度が著しく悪い」「横領など業務上の不正行為があったとき」とかいった労働者側の要因があるときです。
 [労働組合員をねらって解雇すればただちに「不当労働行為」という違法行為。]:これは労働委員会や裁判で争えば勝てます。
 
だって非常勤教員は公募に通ってないんだから、その身分で当然だ。自分の努力や能力のことを棚に上げて、外的な賃金や国の政策だのばっかり悪いって言ってるやないかという人へ
 
 こういう人は、ひとのことを言う前にまず自分の精神の姿を省みること、それが如何に不健康にゆがんでいるかをまず眺めることが必要ではないでしょうか。今の制度はこうなっているんだから、それに合わない方がおかしい
 
という「現実追従リアリズム」でいいのでしょうか。多くの非常勤教員は努力していますし、教育にも力を注いでいます。能力や努力のことを言われれば誰だって「まだ足りません」という面もあるのではないでしょうか。
 週に何講も授業をもって、非常勤が大学の授業の40%ももって、何年も何年も続いている。つまり、実質的に大学の教育を担えるとみなされたから採用され、実際に専任と同じように学生に接している。なのに学生アルバイト程度の賃金にしかならないのを少し改善したらどうだというのに、公募に通っているかいないかなんて問題にならないんじゃないですか。
 同じスチュワーデスの仕事をしても「契約スチュワーデス」という名前にするだけで正規新人スチュワーデスの3分の2、スチュワーデス平均年収の(870万円:95年度)の約3分の1にされる。
 非常勤講師だって同じだ。
 頭の中で公募がないものと考えてごらん。そうすればたくさんの授業をちゃんとやっているのに、若い非常勤講師も何十年もやっている人も、すごい差別された賃金で働いているだけということがわかるはずです。自分の仕事に誇りを持って堂々と権利を主張しましょう。
 
私にとっては、教育にたずさわれることが大切なんで、ごちゃごちゃした労働条件云々にかかわりたくないという人へ
 
 そういうかたは、きっと教育への熱意や誠意、探求へのあこがれや思いを大切なものとされているのでしょう。その心情を傷つけたくはありません。
 「私は教師だ」という人は、どんな科目を担当していても、学生に対して、お前たちはこう生きろよというビジョンを持っている、学生の未来のことも考えているはずです。そこで同じ週5コマ担当して片方は年収1000万円になり、他方は150万円にしかならない(校務だけで850万?)、加えて80才ぐらいまで生きた場合の年金・健康保険の専任非常勤間の得失差が2000万円ほどあります。あなたは教師としてこれにどういう見解を持ちますか? 専任教員であれば、同じ学校の仕事仲間にこれだけひどい待遇のひとがいるのに、黙っていていいのでしょうか。 「高校入試の点数によりA高校へ行ったかB高校へ行ったかで、まるで人間のランク・価値まで違ってしまうように扱われるなんて非人間的だ」と憤る教育者のあなたは、公募や縁故採用で専任になったか否かで、まるで人間のランク・価値まで違ってしまったかのように扱われるシステムの前には思考停止で脳を休めるのですか?
 企業・官庁のランク付け、年功賃金の高さのランク付け、そうしたことが大学のランク付け、高校のランク付け、受験教育化とつながっていると思えば、そして子供や学生の心の痛みがわかれば、そうしたシステムを将来どうしたらいいか・・・、一緒にやりませんか?
          (次号へ続く)
 
   (文章:福田拓司
    ・グラフとデータ江尻彰)
 ひとこと 〜〜感想や発言〜〜 
 
教育・研究のヒントがいっぱい
藤井 幸之助
 クラス委員や宴会の幹事はこれまでやったことはありますが、今回新しく生まれた非常勤講師労働組合の執行委員に、突然立候補して、なった藤井幸之助です。
 「働く者の権利を守る」のは当たり前ですが、非常勤という不安定な位置での活動になります。お金も時間もないので、知恵を搾って楽しみながらやっていきたいと思います。
 いろんな分野の方々のご参加をお待ちしています。人との出会いが楽しみです。教育・研究のヒントもいっぱい詰まっていますよ。
    
    感 想
増田 和夫
総会に、儒教研究の第一人者である、加地伸行先生(大阪大学名誉教授)がこられていた。ご自身のお弟子さんが、非常勤講師を続けられているとのことだった。総会参加の詳しい理由は、残念ながらお聞きできなかったが、設立カンパもいただき、その上、貴重なご助言もしていただいた。
 総会で、執行部が提起している運動方針案について、もちろん、こういう問題も大切だが、これだけでは人を集められない。やはり、大学の教員にふさわしく、学術研究で勝負すべきだ。ひとり5万円だせば500万円くらいは集まるだろう。これを基金にして本を三冊ほど出版してはどうか、その中で、非常勤問題も訴えていく・・・という活動を展開してみてはどうか。という内容のものである。
 たしかに、研究者・教育者の特性を生かした組合運動という視点を、執行部が持ちきれてこなかったことは問題であろう。加地先生のご助言をしっかりと受け止めて、さらに運動を発展させられるよう、議論を深めていきたいと思う。
 
長澤 高明
 設立準備段階から暫定執行委員長とは名ばかりで、周囲の執行委員の方々に助けられながらやってきました。今回正式に初代の執行委員長に選出されました。少しでもこの運動を前進させるために力を尽くそうと思っています。どうぞよろしく。
 大西 陸子
 大学非常勤講師労働組合が、阪神圏にも誕生したことは非常に喜ばしいことである。というのは、本務校を持たない多くの非常勤講師は、自分たちのような存在がどれくらいいて、又大学教育の中でどれくらいのウェイトを占めているかも知らずに、日夜汗水垂らして走り回っていただろうから。自分だけではないんだ、仲間が沢山いるんだ、そう思っただけでも、幾分救われたような気がする。私自身非常勤歴20年であるがその非常勤の職さえ思うように探せない分野である。賃上げ、待遇改善の前にまず安定した仕事がほしい、それが多くの仲間たちの本音であろう。しかし、この運動は単なる賃上げ闘争ではなく、日本の大学・短大における教育の本質をも左右する、大きなものであることを認識すべきである。
 
あなたは、「そうではない!」
と言えるか
真鍋 能章
 
 日本社会の中堅層は、しばしば、左(あるいは上)へ向けば左(上)へ、右(あるいは下)へ向けば右(下)へ向きっぱなしである。こうなったのは、わが国が価値観の大きな転換を半世紀にわたって経験することがなかった、からであろうか。
 
 (1.大学教育の現場) 各年度の講義計画を覗いてみるならば、隣の専門分野では(ときには一般の人間にも)決して通用しない主張が、見受けられる。それはあたかも、あれこれの学部は、あるまとまりの有る学問を学生に提供するものではないかのようである。解釈権を独占するかたちで学生に臨むであろう教員は、師弟関係や同僚との関係の中では、「そうではない」と言えないのであろうか、あるいは「そうではない」と言う必要を感じないのであろうか。一般に、専門家は相互に前提しあうものだが、基本的な事柄について自分で確かめず、全体について判断しようとしないのならば、あるいは合理的に考える習慣がないのならば、「知識人」と呼ばれることを恥じねばならない。
 
 (2.業績評価の導入) そもそも、大学教員の労働は、芸術家や作家の労働のように数十年の努力の報酬を数年のうちに刈り取るものか、それとも工場労働のようにその活動から得る産出物は投入された時間と対応するものか。ある私学の調査によると、非常勤講師の雇用は教員総数の過半数を占めており、そのうちの半数近くは専業的非常勤講師である。大局的には、研究と教育はひとつのものであるから、本務で給料を受け取る者の非常勤職としての評価(「労働力の価値」)だけでなく、教育活動それ自体での評価(「労働の価値」)が必要となろう。そしてこのためには、客観的な評価が可能となるよう、縁故に頼ることのない労働市場(ベンチャー型やオーディション型)の創出が求められよう。
 
 (3.労働組合の役割) 大学が過剰となる下で規制緩和が進むならば、そのポスト・その学部の存在意義は、文部省の許認可によってではなく、自らが証明せねばならないこととなろう。むろん労働組合は、「雇止め」や1コマ当たりの「単価」(25,000円/月の前後)、上部団体との関係など、既得権益を守るためには団結する。企業内労働組合ではない本労働組合は、その特性を生かして、教育情報の学生に対する公開を押し進めねばならない(例えば、定期試験の答案は、教員のものか、大学のものか、学生のものか)。また、その特性を生かして、買い手である学生が教員を選択できる様々なシステム創出のために努力せねばならない。
                              (1999.7.)
〜〜ニュースの名前を募集しています〜〜
 
 ようやく、この組合のニュースの第一号がでました。今回は仮称「ネットワーク」としておきましたが、このニュースの名前を募集しています。ちなみに東京の組合のは『控室』、京都の組合のは『くみあい通信』といいます。
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