神戸市立外国語大学との団体交渉について

 

神戸市外大は外国人非常勤講師と日本人非常勤講師との間に賃金格差を設けた上、外国人には月給制、日本人には実際に出勤したコマ数分しか支払わないという「二重基準」でやってきました。そこで、この件について、ある日本人の非常勤講師が労働基準局に相談したところ、「契約書がないことにはどうにもならない」といわれたそうです。

この件につき相談を受けた当組合は、2001年11月に下記の要領で団体交渉を申し込みました。

「1 厚生労働省が勧告しているとおり雇用契約書を作成し、これまでの「委嘱状」に代わり契約を締結すること。

2 現在の実際の授業回数に基づいて給与計算を行なう方法ではなく、外国人の非常勤講師と同様、月給制とし、かつ休暇中も給与を支払うこと。

3 非常勤講師を解雇する際には、できるだけ早い時期に合理的な説明を含め通知すること。

以上の項目について責任を持って回答できるかたの出席を要求いたします。」

 

その結果、12月25日、神戸市外大で3時間にわたって交渉がもたれました。出席者は大学側:事務局長、学生課長、庶務係長、教務係長の4名、組合側:当組合執行委員3名と外大非常勤講師4名の計7名。

 

雇用契約書の作成について

大学 公立大学はどこでも委嘱状である。担当教員がいない時にスポット的にお願いしているから委嘱状でよい。

組合 厚生労働省の勧告を守るべきである。公立で雇用契約書を結ぶと何か法的に問題でもあるのか。外国人とは労働契約書を結んでいるではないか。私立では日本人相手でも契約書に切り替える大学がでてきている。またスポットといわれるが、臨時で10年はないだろう。大学が安い労働力として非常勤を利用しているだけではないか。

大学 外人と労働契約書を結んだのは、昔、在留許可との関係があったからではないか。詳しいことは知らないが。

組合 雇用する時に、その人の給与がなぜそのランクなのか、説明をするのか。また給与規定を本人に渡しているのか。

大学 給与規定は渡していない。今後検討する。この件については今まで問題意識がなかった。

組合 非常勤講師の割合と持ちコマ数は?

大学 専任が98人、非常勤が170人くらい。うち外人は30人くらい。専任の持ちコマ数は平均で6コマ。多い人は10コマ程度。非常勤の持ちコマの平均は不明。

 

月給制について

大学 「二重基準」については学内でも問題にされた。今後は、日本人への支払い方が基準になるかもしれない。外人の月給の算出方法は、45分で8000円とし、それに×2×30回÷12ヶ月。(これが最高ランク)

組合 日本人は講義予定日が祝日や行事とぶつかると自己都合で休講したわけではないのに給与が下がる。

大学 その分は半期15回までなら補講していただいて結構。

組合 そんな規定があるとは知らなかった。今後周知徹底するように。ところで一コマの単価の根拠は何か?

大学 根拠はない。神戸市の人事院勧告に基づいて基準額にいくらか上乗せしている。近畿圏の公立大学では中位の賃金だろう。

組合 非常勤の給与の年間予算はどうやって決めているのか?

大学 前年度を参考に報奨費として計上する。ただし当該年度の専任の増減によって、その額も減増する。

組合 では大学側が報奨費を上げようとする場合、どういう手続きを取るのか?

大学 首をひねるばかりで、回答無し。

組合 ところで、職員がカリキュラムと照らし合わせながら、非常勤の授業を見回っているというのは本当か? 組織的にそのような「監視」をしているのか?

大学 (首をひねるばかりで)知らない。

 

雇い止めについて

組合 四コマやっていた非常勤が雇い止めになった。コマ数を減らされたものも多い。なぜそうなったのか?

大学 専任を4人(20コマ)入れたため。

組合 今年の夏ごろに、非常勤にも専門に近い科目を持っていただくためと解釈できる文言で過去5年間の業績調査が行なわれた。ところがフタを開けてみるとその調査が雇い止めの理由にされていた。これは不公正なやり方ではないか。学生が大学に要求しているものと研究業績とは一致しない。翻訳・同時通訳・外交官を目指している学生の要求を満たしている教員はむしろ大学紀要に学術論文を書いていない。専任の考える大学像と大きくズレている。事務局はこうした調査を知っていたのか?

大学 (知っていたかどうかには答えず)英米学科でやったこと。

組合 研究業績を雇い止めの理由にするのならそれでもよいが、だったら研究費を出して欲しい。

大学 研究費は出せない。

組合 研究費が出せないならせめて授業で使うビデオテープの支給くらいせよ。

大学 回答無し。

組合 大学は授業評価アンケートまで取っているのにその結果のフィードバックがない。われわれにアンケート結果が知らされていない。

大学 アンケートの内容を大学は拝見しないことにしている。あれは各自の参考に、という意味。 

組合 じゃ、なぜアンケートを回収するのか。公表すべきだ。

大学 大学は回収していない。回収BOXがあったというが大学は一切関知していない。

 

その他

組合 ロッカーは一日だけ使用できるコインロッカーなので、一週間分の私物(プリント類)を置けない。

大学 ロッカーを全員分そろえるのは無理。

組合 希望者だけにでも提供せよ。(大学 無回答)

組合 他大学から図書を取り寄せられるようにせよ。

大学 昔はしていたが、非常勤は毎日来ないからちょっとトラブルがあって、止めたそうだ(組合 連絡をちゃんとすればすむ話だ)

その他、健康診断は実施していない、退職金は今後もない、という回答であった。

組合からは、今後雇い止めするときには機械的に切るのではなく、本人の希望を聞いて、かつ納得のいく説明をすること、同時に人事の透明性を高めるように努力することを要求し、大学側は今日の内容を英米学科に伝えることを約束した。また英米学科に伝えた結果を文書で公表すること、少なくとも雇い止めされた、あるいはコマ数を減らされた非常勤には直接英米学科の見解を伝えること、できれば雇い止めするのではなく2コマくらいは残すこと等を要求して交渉を終えた。

あらかじめ要求項目を提示して、責任を持って回答できる人の出席を要求したにも関わらず、専任はひとりも出席せず、またわれわれの要求をどの機関・部署で検討するのかという問いにはまったく答えられないことに驚いた。外大だけでできることと市役所法規係でないとできないことの区別についても答えてはいただけなかった。

 

最後に、外大非常勤有志の方々が当日配布された文書を掲げておく。

「           非常勤講師の雇い止めについて。

有期契約(1年)の非常勤講師について長期(7年以上)にわたって契約を更新してきた者については正当な理由なくして雇い止めはできない。

 今年突然、業績調査がありその結果業績のない者から雇い止めになったとのことであるが、研究費が毎年数十万円ある専任教員と研究費のない非常勤を一律に扱うことはできない。過去5年にさかのぼっての研究業績調査結果が雇い止めの正当な理由とはいえない。

 むしろ神戸市外国語大学への教育貢献度として出講状況を調査すべきであろう。過去5年にさかのぼって休講回数、補講回数を専任教員、非常勤講師全員にわたり調査公表すべきである。調査の結果出講状況のよくない者についてのみ雇い止めの対象とするべきである。出講状況調査は雇い止めの正当な理由になり得る可能性はあるかもしれない。」

                                                  (文責 書記長:長澤)

 

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